Journal of Science and Philosophy Volume 1, Issue 1 (September, 2018)

Online edition: ISSN 2434-2327
Print edition: ISSN 2434-2335


学術誌の新しいありかたを実験するための学術誌 Journal of Science and Philosophy (JSP)

第1巻第1号(2018年9月)

2018年9月19日 発行

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  • 創刊号へ向けて
  • ハーバート・スペンサーにおける個人主義思想の再検討
  • 物理的 “実在” についての哲学的試論
  • 時を巡る思考の散策《フィールドワーク》

書籍版はこちらでお買い求め戴けます (書籍版 ISBN 978-4-909624000)

発売はAmazon・楽天ブックス・三省堂書店のみとなっております。一般の書店ではお買い求めいただけません。

本書籍はCC BY 4.0で公開しており、PDF版はご自由にダウンロードいただけます。

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創刊号へ向けて

飯澤 正登実 (やまなみ書房)
ORCID iD icon  https://orcid.org/0000-0002-3735-0616

https://doi.org/10.50857/jsp1.1.1

Journal of Science and Philosophy ( J. Sci. Philos. または JSP ) の制作・発売を担当させていただいているやまなみ書房の飯澤です。編集委員会ではない第三者の立場から本誌をご紹介させて戴きます。

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ハーバート・スペンサーにおける個人主義思想の再検討

久野 真隆 (慶應義塾大学大学院 文学研究科 哲学・倫理学専攻)
ORCID iD icon  https://orcid.org/0000-0002-3771-0474

https://doi.org/10.50857/jsp1.1.6

※本文は日本語です

The main objective of this paper is to reexamine Herbert Spencer’s individualism. In most cases, Spencer is regarded as a philosopher, who claims individualism. It is clear from works already reported that he maintains his individualism. Moreover, it has been often discussed whether Spencer adapted individualism to his evolutionary theory.

But, in the traditional studies of Spencer’s individualism, it is possible that his individualism is still incompletely understood. In the light of this situation, this paper attempts to review his individualism and lay out a new interpretation.

First, this paper will give an outline of a conventional explanation of Spencer’s individualism. Second, it will examine this old explanation. Third, it will point out some problems on that. Finally, the paper will show a possibility of a new interpretation of Spencer’s individualism.

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物理的 “実在” についての哲学的試論

杉尾 一 (上智大学 文学部 哲学科)
ORCID iD icon  https://orcid.org/0000-0002-6881-900X

https://doi.org/10.50857/jsp1.1.25

※本文は日本語です

This study was performed to adjust the difference between Einstein’s metaphysics and Bohr’s epistemology. Many physicists and philosophers know their controversy, but most of them do not know what kind of philosophy made them contend with each other. For this reason, this paper presents Einstein’s metaphysics and Bohr’s epistemology, which are based on Kant’s philosophy. For this purpose, this study deals with EPR, Einstein’s letter to Schröodinger, and Bohr’s interpretation of quantum mechanics. In this process, you find that EPR did not reflect Einstein’s metaphysics, and also understand the difference between Bohr’s interpretation of quantum mechanics and so-called “Copenhagen Interpretation.” As a result, this paper shows that Einstein’s metaphysics and Bohr’s epistemology should not be opposed to each other, and their philosophy rather promotes development of physics.

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時を巡る思考の散策《フィールドワーク》

脇本 佑紀 (ニュートンワークス株式会社)
ORCID iD icon  https://orcid.org/0000-0001-6455-8642

https://doi.org/10.50857/jsp1.1.42

この文書は時に関する歴史散策/思考を筆の随に遊ばせる、エッセイのようなものであり、随筆であり、試みである。 主に物理学を、副に哲学を軸とする。詩と神話にも触れる。随所に稚拙な理解/散漫な論理展開が見られるが、アカデミック・ソフィスティケーションの萌芽として、ご指導ご鞭撻のほどを賜りたく献じるものである。

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編集兼発行

〒102-8554 東京都千代田区 紀尾井町7-1 上智大学7号館313 内
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Journal of Science and Philosophy 編集委員会
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やまなみ書房

Journal of Science and Philosophy Volume 3, Issue 1 (March, 2020)

Online edition: ISSN 2434-2327
Print edition: ISSN 2434-2335


学術誌の新しいありかたを実験するための学術誌 Journal of Science and Philosophy (JSP)

第3巻第1号(2020年3月)

2020年3月31日 発行

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  • 日本の研究界における男女格差について ——現状分析と格差解消に向けての提言——
  • 哲学系国際誌への論文投稿に係る投稿先選定のための手引き ——哲学分野における主要な国際誌データベース情報、ハゲタカジャーナル情報、および国際誌と本邦学会誌との差異に関する試論——
  • 書評 : ケイト・マン『ひれふせ、女たち』 ( 小川芳範訳,慶應義塾大学出版会,2019 年 )
  • 科学コミュニケーションにおける構造的課題と解決策の検討 —ステークホルダー分析の必要性とその実践—

製本版はこちらでお買い求め戴けます(書籍版 ISBN 978-4-909624048)

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日本の研究界における男女格差について ——現状分析と格差解消に向けての提言——

豊泉 英智 (Fred Hutchinson Cancer Research Center, Basic Science Division)
ORCID iD icon  https://orcid.org/0000-0002-6529-6346

https://doi.org/10.50857/jsp3.1.1

※本文は日本語です

Japan, perhaps unsurprisingly, has the lowest ratio of women in academia among the OECD countries at 15.3%. Low ratio of female researchers is largely due to the low ratio of STEM-pursuing female students which is also at the bottom of OECD countries. In fact a national survey revealed that it even middle school female students are biased away from STEM fields. While newly hired faculty’s ratio is promising, a high turnover rate for female scientists suggests that without much stronger support during life-events ratio of female researcher will only improve at slow rate. Combined with anti-bias training for students of all ages, support of female researchers will make Japanese academia more competitive and productive and above all, more fair and equal.

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Errata DOI:https://doi.org/10.50857/jsp3.1.1.errata

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哲学系国際誌への論文投稿に係る投稿先選定のための手引き ——哲学分野における主要な国際誌データベース情報、ハゲタカジャーナル情報、および国際誌と本邦学会誌との差異に関する試論——

田村 歩 (筑波大学)
ORCID iD icon  https://orcid.org/0000-0002-1249-324X

https://doi.org/10.50857/jsp3.1.25

周知のように、哲学を含む人文科学系の研究領域は、発展目覚ましい自然科学系への追従というかたちで変革を求められてきた。そのうちの一つに、外国語での論文執筆はもちろんのこと、国際誌への論文投稿が強く求められるようになったということが挙げられる。これまでも、外国語で論文を執筆し国内の哲学系学会誌・紀要に投稿するということは珍しくなかったが、今後は、留学経験の有無などにかかわらず海外の論文誌に投稿していくことが一般化していくものと思われる。しかしながら、現状、本邦において哲学系国際誌に論文を投稿するための情報が充分に整備されているとはいえず、論者自身、大学院在籍中に初めて国際誌へ論文を投稿した際には相当の時間を情報収集に費やさざるをえなかった。そこで本稿では、国際誌への投稿に際して論者が収集してきた情報を、哲学分野の大学院生や若手研究者が今後投稿先の国際誌を選定するときに少しでも役立つようまとめておきたい。

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書評:ケイト・マン 『ひれふせ、女たち』(小川芳範訳,慶應義塾大学出版会,2019 年)

横路 佳幸 (慶應義塾大学大学院 文学研究科 哲学・倫理学専攻)
ORCID iD icon  https://orcid.org/0000-0002-7501-5384

https://doi.org/10.50857/jsp3.1.49

[PR]

アメリカでベストセラーとなった分析的フェミニズムの著作Down Girl: The Logic of Misogyny, Oxford University Press, 2018の翻訳書が2019年11月30日に発行されました(ケイト・マン 『ひれふせ、女たち』(小川芳範訳,慶應義塾大学出版会,2019 年))。本稿は刊行された訳書に対する本格的な書評です。本書の解説はもちろん、評者によるコメント・文献案内を含んでおり、分析哲学やフェミニズムにご興味ある方必見です!

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科学コミュニケーションにおける構造的課題と解決策の検討 —ステークホルダー分析の必要性とその実践—

池上 日菜 (上智大学 文学部 哲学科)
ORCID iD icon  https://orcid.org/0000-0002-4416-5398

https://doi.org/10.50857/jsp3.1.67

本稿では科学コミュニケーションに求められる新たな役割である「ステークホルダー分析・調整機能」を取り上げ、その方法論の提案と実践を介して科学コミュニケーションの方向性を検討する。

現代では科学・技術が発展し、我々の生活と不可分になった。ゆえに、科学・技術の社会実装による社会的影響を、専門家や市民を始めとした様々な観点から検討する必要性が生じた。科学コミュニケーションは、異なる立場の意見を取り入れ、社会実装に関する意思決定の方法論を確立させることを目的とした分野である。

しかし、科学コミュニケーションの研究者は科学・技術の専門家が中心であり、人文学・社会科学系の人材や市民の視点を理解できる人材が不足している。ゆえに多様な立場の意見を取り入れるという役割を充分に発揮できていない。

そこで本論では科学コミュニケーションに「人文学的視点」を取り入れた「ステークホルダー分析・調整機能」を検討し、元来の目的を実現する在り方について考察する。

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編集兼発行

〒102-8554 東京都千代田区 紀尾井町7-1 上智大学7号館313 内
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〒156-0043 東京都世田谷区松原5丁目22番地6番 リベラリティ内
やまなみ書房

Journal of Science and Philosophy Volume 2, Issue 1 (March, 2019)

Online edition: ISSN 2434-2327
Print edition: ISSN 2434-2335


学術誌の新しいありかたを実験するための学術誌 Journal of Science and Philosophy (JSP)

第2巻第1号(2019年3月)

2019年3月31日 発行

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  • 創刊号から約半年を経て
  • K4タブローによる妥当性判定と濾過法
  • アリストテ㆑スにおける言語行為としての述定 ——桑原への簡潔なコメント——
  • 知識の獲得と観察の理論負荷性

製本版はこちらでお買い求め戴けます(書籍版 ISBN 978-4-909624017)

発売はAmazon・楽天ブックス・三省堂書店のみとなっております。一般の書店ではお買い求めいただけません。

本書籍はCC BY 4.0で公開しており、PDF版はご自由にダウンロードいただけます。

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創刊号から約半年を経て

杉尾 一 (上智大学 文学部 哲学科 / JSP 編集委員)
ORCID iD icon  https://orcid.org/0000-0002-6881-900X

https://doi.org/10.50857/jsp2.1.1

昨年、やまなみ書房から Journal of Science and Philosophy (JSP) の第1巻 第1号 (創刊号) を刊行した。幸いなことに多方面から反響があり、今回の第2巻第1号では、投稿者の中から若き俊英3名(高木翼氏(論理学)、横路佳幸氏(分析哲学)、山口真子氏(科学哲学))の論文を厳選し、掲載させて頂くこととなった。本稿では、各氏の論文について簡単に紹介したい。

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K4タブローによる妥当性判定と濾過法

高木 翼 (法政大学 文学部 哲学科)
ORCID iD icon  https://orcid.org/0000-0001-9890-1015

https://doi.org/10.50857/jsp2.1.4

※本文は日本語です

One of the difficulties of modal logic K4 is that the tableau may be infinitely long and the validity of a formula cannot be determined. However, an infinite counter-model of the formula can be constructed by finding a pattern of the infinitely long tableau. In order to transform the infinite counter-model into a finite counter-model, we should suppose that reflexibility holds in the part of the same infinite prefixed formula except for their prefixes. In this paper, I show that this transformation is the special case of filtration method.

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アリストテレスにおける言語行為としての述定 ——桑原への簡潔なコメント——

横路 佳幸 (慶應義塾大学大学院 文学研究科 哲学・倫理学専攻)
ORCID iD icon  https://orcid.org/0000-0002-7501-5384

https://doi.org/10.50857/jsp2.1.24

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[著者PR]

かつて、古典哲学と分析哲学は蜜月の関係にあった。古典哲学者は分析哲学から新しい知見と発見を吸収し、分析哲学者は古典哲学で得られた成果を思想的源泉としていた時代が、確かに哲学にはあった。しかし、研究の細分化は成熟したあらゆる分野が迎えるべき宿命である。蜜月時代は、いまやふるきよき昔話となりつつある。

本討論は、この現状に一石を投じるべく、分析哲学者(横路佳幸)が同世代の古典哲学者(桑原司)に送る、挑戦状である。

取り上げるのはアリストテレスにおける「述定」である。たとえば、我々が「ソクラテスは人である」という形式の述定をおこなうとき、我々は一体いかなることをなしているのだろうか。最新の論文で桑原は、述定を新しく言語行為(speech act)の一種として理解し、この解釈は従来の標準的な解釈と対立すると論じた。

しかし本論文で横路は、言語行為の中でも特に主張(assertion)に着目することで、「主張としての述定」が桑原の解釈と整合的であること、そして桑原の解釈が必ずしも標準的な解釈と対立しないことを示す。その結果、桑原の議論には看過しがたい不備と問題が残ると横路は結論づける。

奇しくも、蜜月の黄金期に活躍したJ. L. オースティンに由来するアイディア「言語行為」を討論の中心に据えながら、いま、分析哲学が古典哲学に、再会を果たす。


討論の対象となる桑原の論文は以下で閲覧することができます。
http://digital-archives.sophia.ac.jp/repository/view/repository/20171114017
リンク先最下部の「ダウンロード」をクリックしてください

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知識の獲得と観察の理論負荷性

山口 真子 (上智大学 文学部 哲学科)
ORCID iD icon  https://orcid.org/0000-0001-6504-6753

https://doi.org/10.50857/jsp2.1.37

この論文では、アメリカの科学哲学者ノーウッド・ハンソンが主張した「観察の理論負荷性」を取り挙げていく。これは、「何を現象として観察できるかということは、前提となる理論が決定する」ということを示している。この主張は、1958年に出版された『科学的発見のパターン』でなされた。この本が出版された20世紀半ば、科学哲学の分野では、論理実証主義に影響を受けた研究やポパーの反証主義に基づいた研究が主流であった。これは、科学哲学の研究が、科学史とはあまり関わらない形で理論中心に展開されてきたことを示している。しかし、ハンソンの登場によって、科学哲学の研究は変わることになる。それは、科学哲学の研究において、科学史を考慮する研究へと変わったことだ。ここから、ハンソンが示したような科学哲学の立場は「新科学哲学」と呼ばれている。

本論文では、ハンソンが「観察の理論負荷性」をどのように科学の分野で主張したのかを明らかにしていく。そのうえで、「観察の理論負荷性」が科学史上でどのように展開されてきたのかを検討していきたい。一方で、科学史というのは我々が理論負荷を乗り越えてきた歴史といえるだろう。そこで、科学史上で乗り越えてきた事例が、観察の理論負荷性においていかに考察されうるかについて検討していきたい。これは、我々が認識したものを体系化して、知識として獲得するプロセスの基礎構造を明らかにすることにつながっていく。

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〒102-8554 東京都千代田区 紀尾井町7-1 上智大学7号館313 内
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